「あいちウェブ文学館」館長よりごあいさつ

●館長・三田村博史● 〜あいちの文学状況を発信〜
愛知は古くは万葉集に何首も「あゆち」と詠われ、県花・かきつばたは伊勢物語の東下りの段に由来するといった文学ゆかりの多い土地柄である。
明治に入っても坪内逍遥、二葉亭四迷といずれも尾張藩士の子弟が日本近代文学の礎を築き、つづいて半田出身の小栗風葉らが明治文壇を支えた。また日本における探偵小説の開拓者は蟹江出身の小酒井不木、名古屋の中心で育った江戸川乱歩。モダニズム詩運動を起こしたのも春山行夫らによってだった。戦後文学は旧制八高出身の藤枝静男、平野謙、本多秋五、さらには終生、渥美に根をおろし活動した杉浦明平に依るところが大きく、児童文学では新美南吉、さらには経済小説の城山三郎をも忘れることはできない。
この「あいちウェブ文学館」はその他多くの文人たちの資料を保存しようと活動した愛知近代文学館建設促進委員会(代表:故・助川徳是 名古屋大学名誉教授)への寄金によって、過去および現在の愛知の文学状況を発信する目的で開設された。今、刻々と失われつつある文学紙媒体を保存収納、後の世代につたえる文学館が出来るきっかけになればと願っている。
館長・ウェブ便り 〜ここでは館長・三田村博史氏の関連行事をご紹介します〜
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〇明けましておめでとうございます。今年は震災もなく、戦争も終結とうれしい年にしたいものです。ところで今号では事後報告をまずお届けします。いずれも会場は「文化のみち 二葉館」です。遠くの方でこの会場をご存じない方のためちょっと紹介しますと、名古屋市東区橦木町にあります。地下鉄・高岳下車徒歩15分ほどで旧貞奴邸を移築したお洒落な建物。2階には中区出身の城山三郎氏の書斎が再現、「郷土の文学資料室」もあり、今年は開館20周年、2月8日は開館記念日で入場無料となっています。お越しください。
〇昨年10月14日(日、祝)、そのステンドグラスに囲まれた大広間で、岡山県赤磐市から「永瀬清子展示室」の学芸員・白根直子氏を招き「永瀬清子と愛知県立第一高等女学校高等科」と題した講演をしていただきました。「現代詩の母」とも称される永瀬清子は父親の転勤で名古屋へ来て愛知県第一高女に高等科が出来るのを知ってその3年制の英語部へ入学。高女に高等科とはと思われる方もいると思いますが、まあ専門学校級の学校。八高の教授などにも習い、ここで永瀬は詩に目覚めたのでした。講演後は石田麻利子氏や第一高女の後身の明和高校の生徒たちによる永瀬の詩の朗読もありました。
〇つづいて同じ「文化のみち二葉館」で10月9日から11月24日まで「名古屋モダニズム詩展?―モダニズムからシュルレアリスムへ」が開催され11月10日には愛知文学史誌会代表の木下信三氏による「名古屋のモダニズム詩人たち」と題する講演と、俳優の菅沼翔也氏による朗読がありました。木下氏はこの地方の近代文学研究の第一人者。種田山頭火に没頭し、その足跡を訪ねた著書も何冊かあります。なお、この橦木町近辺は昭和初期、井口蕉花、春山行夫、佐藤一英、高木斐瑳雄、さらには金子光晴、牧野吉晴たちも集った文化ゾーンでした。
〇鈴鹿市在住の中條ていさん原作の「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)が桑名市、四日市などでロケ、市民も参加映画化され、昨年11月全国各地で上映されました。黒木華、中村蒼、風吹ジュン、草笛光子ら出演。監督は草野翔吾。中條さんは地元の斎藤緑雨文化賞を受けています。
〇楠木夢路さんからの情報によると全国的に「文学フリマ」があちこちで開かれてます。主催は文学フリマ事務局と開催地の有志団体。東京は昨年から1000円の入場料を取っていますが多くは無料。自分たちで作ったアニメ、漫画から小説本まで交換、販売する場です。昨年は東京は14976人、福岡5500人、大阪7500人の参加があったそうです。今年1月19日11時から4時まで「京都フリマ9」は「みやこめっせ」で入場無料。2月9日は広島産業会館、5月11日・東京ビックサイトで3500ブース、6月15日は岩手産業会館で開催予定です。いずれも日曜日。香川、札幌、大阪、福岡でも開催されます。名古屋は20年ほど前、吹上ホールで開かれましたが、以後、その動きはありません。同人雑誌は盛んな地ですが・・書いて同人誌に発表、内輪の合評会と外部への発信のないのは寂しいですね。本屋大賞とか高校生直木賞とか、いわゆる専門家ではない人による文学賞も盛んな時代です。フリマの詳しいことは「文学フリマ」と検索してください。
あいちウェブ文学館館長 三田村博史
「あいちウェブ文学館」主催・協力事業
(作者・講師:三田村博史 館長)/長円寺会館
●2016年2月14日(日)『口語短歌の新たな地平ー歌集『砂丘律』批評会』/長円寺会館
●2013年10月5日(土)『漂い果てつ』を話す会/今池ガスビル7F ☆写真付レポートはこちら
●2015年5月31日(日)あいちウェブ文学館 お礼と報告の会/名駅アートハウスあいち
☆写真付レポートはこちら

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●掲載お申込み人はいずれかといたします。 1.著者ご本人 2.著者が掲載依頼をした、その代理人(著者依頼の確認できるものを準備ください) 3.著者が掲載依頼をした、その所属組織・団体(著者依頼の確認できるものを準備ください)
〒453-0013 名古屋市中村区亀島1-9-10 あいちウェブ文学館事務局 宛
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掲載料を専用振込口座「あいちウェブ文学館 00840-6-198845」(ゆうちょ銀行)へお振込願います。確認後よりウェブ掲載作業に入ります。
掲載費用は●1作品・3ヵ月・1,000円、6ヵ月・2,000円(同作品)。3ヵ月もしくは6ヵ月経過時点でウェブサイト上から削除いたします。事務局よりご連絡は差し上げませんのでご了承ください。お振込いただいた費用は、文学紙媒体を保存収納、後の世代につたえる文学館建設啓発活動(「あいちウェブ文学館」運営を含む)への寄付とさせていただきます。
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