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「あいちウェブ文学館」館長よりごあいさつ

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●館長・三田村博史● 〜あいちの文学状況を発信〜

愛知は古くは万葉集に何首も「あゆち」と詠われ、県花・かきつばたは伊勢物語の東下りの段に由来するといった文学ゆかりの多い土地柄である。 明治に入っても坪内逍遥、二葉亭四迷といずれも尾張藩士の子弟が日本近代文学の礎を築き、つづいて半田出身の小栗風葉らが明治文壇を支えた。また日本における探偵小説の開拓者は蟹江出身の小酒井不木、名古屋の中心で育った江戸川乱歩。モダニズム詩運動を起こしたのも春山行夫らによってだった。戦後文学は旧制八高出身の藤枝静男、平野謙、本多秋五、さらには終生、渥美に根をおろし活動した杉浦明平に依るところが大きく、児童文学では新美南吉、さらには経済小説の城山三郎をも忘れることはできない。  この「あいちウェブ文学館」はその他多くの文人たちの資料を保存しようと活動した愛知近代文学館建設促進委員会(代表:助川徳是・名古屋大学名誉教授)への寄金によって、過去および現在の愛知の文学状況を発信する目的で開設された。今、刻々と失われつつある文学紙媒体を保存収納、後の世代につたえる文学館が出来るきっかけになればと願っている。

館長・ウェブ便り 〜ここでは館長・三田村博史氏の関連行事をご紹介します〜NEW

【ウェブ便り17号】各種講演会等告知・報告
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○「『あじくりげ』を語る会」のトークイベントが終って近寄って来たのは中学時代1級下の、バスケット・ボール部(篭球部と称していました)で一緒だった武田恭子さん。古い「あじくりげ」を手にしています。そして「これ、わたしよ」と広げてさしだしてきました。見ると名古屋市役所の時計塔が写っている。手前に彼女のシルエットがありました。恭子さんはのちに杉戸清・名古屋市長の秘書をしていたのです。「うれしいわ。こんな会、開いてくださって」。何年ぶりかの再会。こういう会を催すといつも思いがけない方が会場にいらしゃいます。恭子さんのみならず「あじくりげ」にはそれぞれの思いを持っている方が多くいらっしゃるでしょう。「あじくりげ展」では武者小路実篤、杉本健吉はじめ有名画家による色鮮やかな表紙が壁一面に展示されてて圧倒されました。担当の石垣さんの苦心が報われ、みんな感嘆。乱歩、尾崎士郎らのページも手に取って読むことが出来る、お持ち帰り自由の「あじくりげ」バックナンバーも好評でした。終刊はいかにも惜しい。それにしても今の名古屋には「あじくりげ」初期の寺田栄一、岡戸武平さんのように東京と名古屋を取り持ちつなげる文化人がいませんね。
○故・木全圓壽さんを中心に地元の無名作家をも掘り起し調査研究してきた名古屋近代文学史研究会は1970年発足、一昨年愛知近代文学史研究会と名称を変えましたが会員の老齢化と減少、財政難でやむなく解散、「愛知近代文学史研究」と誌名を変えた季刊会報も4.月、197号で終刊しました。これまた惜しい。しかしこちらは木下信三さんを中心に新たに愛知文学史誌会として活動を始めます。大学にも見られないこういった在野の地道な研究成果は貴重ですし後世にまで残ります。
○辻原登さんを招いての中部ペンクラブ主催の文学講演会は6月18日に開かれました。演題の一部ともなっていた「だれのものでもない悲しみ」は冒頭には若いころ観たイタリア映画、フェデリコ・フェリーニ監督のジュリエッタ・マシーナ演ずるジェルソミーナの「道」が、また「枯葉の中の青い炎」には往年の名投手・スタルヒンが描かれてました。最近の「寂しい丘で狩りをする」、「冬の旅」、「籠の鸚鵡」の犯罪3部作も読み終えるのが惜しい気持でページを繰りました。朝鮮通信使を書いた「韃靼の馬」もお薦めかな、「円朝芝居噺 夫婦幽霊」は虚実まじってる。直接話が聞け、読む。これがうれしい。大作を次々書かれる辻原さんは小柄で優しい方、友人の亀山郁夫・名古屋外国語大学長も出張先から広島の銘酒を土産に駆けつけられました。講演は小林秀雄をも引用した精緻な「文学原論」、要旨は8月発行の「中部ぺん」24号に掲載されます。
○講演会の後日、近くの古川美術館、為三郎記念館で山本眞輔、澄江夫妻の彫刻と絵画を鑑賞。ちょっとゆかりがある方ですが、共に凄い。彫刻というと裸婦ばかり目立ちますが眞輔さんの作品は着衣なのがいい。特に「細川ガラシャ婦人像」が印象に残りました。
○朝日新聞津総局の若い記者が「名古屋の江戸川乱歩を知りたい」と電話してきましたので、暑い日、名古屋市美術館東の草叢にある「白川小学校ここにありき」の石碑前で落ちあいました。この地に乱歩が通った「白川尋常小学校」があったのです。次いで3歳で名古屋へ来て最初に住んだ園井町探し。戦災で一帯は丸焼け、それに栄とか錦に地名が変わっていてわかりません。どうやら錦通りまで出て「園井町」の小さな標識を見つけましたが乱歩の旧宅跡の特定まではできませんでした。訊こうにもビルばかりで、戦前からの家もないのです。やっとうなぎ屋「いば昇」へ寄って乱歩も通った貸本屋「大惣」の跡は確かめました。「いば昇」は「あじくりげ」創刊から終刊まで支援しつづけた老舗です。「最後の編集長の本田さんは大変だったね」とおやじさんとおかみさんと話しましたが、もう店頭にはいつもあった「あじくりげ」はありません。うな丼で腹ごしらえして栄へ。今の中区内だけでも乱歩は6回転居してますが、この辺りに一番長く住んでいたのです。証券取引所を探しうろうろしてたら、大柄の男性が話しかけてきて「う−ん、乱歩ねえ。この辺りに住んでたとは聞いたことがある」。おお、知ってる人もいるんだとうれしかったのですが、どうやら丸善近辺らしい。タクシーを拾い鶴舞近くの千代田で下りて記者のスマホ頼りに有名料亭「寸楽園」を探すと看板だけ残ってました。〈写真〉ここが乱歩、小酒井不木、国枝史郎たちが集まって探偵小説を合作した「耽綺社」の根拠地です。廃業してますが、ご主人の森さんにいろいろお聞きしました。記事は朝日新聞6月20日朝刊に大きく載りました。「名古屋の乱歩」もっと知ってもらいたいですね。
○6月14日、鈴鹿市文化会館で「鈴鹿市民大学文芸学科」の講義を受けました。映画「沈黙」の舞台になった長崎県外海まで訪れた名村和実さんの「遠藤周作論」、生前親交のあった津坂治男さんによる「伊藤桂一論」。鈴鹿市民大学は年6回で、次は7月12日です。
○「あいち文学フォーラム」主催「茨木のり子の『詩』を読む」講座は7月23日午後1時半から「イーブルなごや」で。問い合わせは090−2772−4810中野へ
○小栗重吉を書いたわたしの小説「漂い果てつ」(本ブログSIDE MENU「あいち・書籍紹介」参照)に触発され、文学仲間の佐藤和恵さんがアングラ芝居「石の舟」にしてくださいました。今年は重吉が帰国して200年。上演は9月16日、17日。守山文化小劇場。詳細は「かわらばん」をご覧ください。「ph7劇場」で検索して、いらっしゃっても歓迎です。すでに舞台稽古が始まってます。乞うご期待。しかし、アングラ、アングラですよ。
あいちウェブ文学館館長 三田村博史

「あいちウェブ文学館」主催・協力事業

●2016年2月14日(日)あいち文学フォーラム主催『東海の文学風土記』出版記念講演会
 (作者・講師:三田村博史 館長)/長円寺会館
●2016年2月14日(日)『口語短歌の新たな地平ー歌集『砂丘律』批評会』/長円寺会館
●2013年10月5日(土)『漂い果てつ』を話す会/今池ガスビル7F ☆写真付レポートはこちら
●2015年5月31日(日)あいちウェブ文学館 お礼と報告の会/名駅アートハウスあいち
 ☆写真付レポートはこちらNEW

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当サイト上での新刊(既刊)紹介について

ご準備いただくもの

掲載ご希望著書の●紹介本文200字程度 ●出版社名・定価・購入方法 ●お名前・ご連絡先(住所・電話番号)をお書きいただき、●実物本とご一緒に下記・事務局まで郵送ください。なお、ご著書の返送は、送料ご負担いただける場合のみとさせていただきますのでご容赦ください。
〒453-0013 名古屋市中村区亀島1-11-11 あいちウェブ文学館事務局 TEL&FAX 052-700-5610/月曜定休・11:00〜19:00

掲載料金について

掲載料を専用振込口座「あいちウェブ文学館 00840-6-198845」(ゆうちょ銀行)へお振込願います。確認後よりウェブ掲載作業に入ります。
掲載費用は●1作品・3ヵ月・1,000円、6ヵ月・2,000円(同作品)。3ヵ月もしくは6ヵ月経過時点でウェブサイト上から削除いたします。事務局よりご連絡は差し上げませんのでご了承ください。お振込いただいた費用は、文学紙媒体を保存収納、後の世代につたえる文学館建設啓発活動(「あいちウェブ文学館」運営を含む)への寄付とさせていただきます。

掲載基準について

主に新刊紹介ですが、当面は既存のご著書でも可能です。
文学団体・研究組織を問いませんが、著者または団体があいちに在籍、関連がある、または著書の内容があいち文学にまつわるものとします。

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